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    ヤーコブ・カールソン3題

    • 2009.03.08 Sunday
    • 19:26
    ◆半年に一回更新されるもはや完全放置状態のブログをこっそり更新してみよう(笑)。

    最近はmixiでの日記更新もしなくなり、主にTwitterばかりというのが現状なんですが、たまには纏まった文章も書きたくなるものです。

    ということで、最近出たスウェーデンのジャズ・ピアニスト、Jacob Karlzon ヤーコブ・カールソンのディスクを簡単に紹介したい。


    ●HEAT (Caprice 2009)
    "Jacob Karlzon"名義としては、2003年の"Big5"以来のアルバム。Big5と同じく、ペーテル・アスプンド(トランペット)と、カール=マーティン・アルムクウィスト(サックス)を配した2管クインテットの最新作(2009)。ベースはハンス・アンダション、ドラムズはヨーナス・ホルゲルソンという布陣。曲によってソロだったりトリオだったり、フルのクインテットだったりとバラエティに富んだ印象ですね。

    ほぼ全篇カールソンのオリジナル曲ですが、2曲例外があって、そのうち一曲がラヴェルのソナチネのModéré(第1楽章)なんです。

    この後紹介するディスクでは、ラヴェルの作品を元にした即興演奏という意欲的なディスクでありますが、この最新作においてもラヴェル!なわけであります。もともとクラシック的素養を持ち合わせているミュージシャンが多く、こと北欧に関しては、自国のクラシカルな作曲家の作品を取り上げる例は少なくありません。それがもともとジャズの要素も多分に多いラヴェルの作品を選ぶというのはカールソンならではの選定眼を感じさせるものです。この"SONATINE:MODÉRÉ"と題された曲も、ほぼモチーフの借用が中心で、完全な正統派ジャズ(しかもかなりカッコイイ)していて、実に素晴らしい。

    その他硬軟取り混ぜた実に奥行き深い音楽が詰まってます。彼のリリカルな抒情美と、多層的に折り重なるように構築されるジャズならでは興奮が実に上手いカタチでブレンドされた傑作と言えるでしょうね。

    個人的ベストトラックは、前述のラヴェルと、タイトルナンバーであるHEAT。




    ◆piano improvisations inspired by Maurice Ravel(Caprice 2008)

    スウェーデンCAPRICEレーベルが昨年開始した意欲的な企画、improvisational シリーズ。第1作はニクラス・シヴェレーヴ、第2作はマッツ・オーベリ、そして第3作目に選ばれたのがカールソンと。
    このシリーズ、とにかく録音場所、ピアノ、時間をほぼ限定し、ピアニストには直前にお題が出されるというもの。ここでカールソンに出されたお題はラヴェル。曲目を覗いてみると、
    前奏曲 古風なメヌエット 絞首台 自由な即興 II 高雅で感傷的なワルツ、かなりゆったりと ボレロ 道化師の朝の歌 自由な即興 IV 自由な即興 III ハイドンの名によるメヌエット

    というもの。それぞれの曲は決して長くなく、繊細な音色で、ラヴェルの面影を追っていくかのような演奏が印象的です。間に挟まれた本当の意味での即興は、カールソンらしいドラマティックな展開を持ったものもありますが、全体的にはたゆたうような微妙な和声の移ろいにラヴェルを"感じる"事がこのアルバムの正しい聴き方なのではないかと思います。

    北欧らしいリリシズムを湛えた硬質なしかし豊かな音色が魅了する。そんな演奏に仕上がってます。極上。



    ◆VICTORIA TOLSTOY MY RUSSIAN SOUL(ACT 2008)

    ロシアの文豪、トルストイを祖先にもつヴィクトリア・トルストイのアルバム。現在スウェーデンで活躍する彼女ですが、今回は自らのルーツであるロシアをテーマとした作品をリリースしてきました。
    で、このアレンジの殆どを引き受けるのが我らがカールソン。とそういう事なんであります。チャイコフスキー、ラフマニノフ、ボロディン、トラディショナル。それらがヴォーカルを伴った気持ちの良いジャズになって蘇る。

    クラシックな方にもお馴染みなメロディーが満載なのも楽しめるポイントですね。いきなりチャイコフスキー5番の2楽章のメロディーに始まり、"Stranger In Paradise"(ボロディンのだったん人の踊りより)、ポーリュシカ・ポーレ、ラフマニノフは第2交響曲のアダージョ楽章などなど。どれもこれも、素直なボロディンみたいな編曲はいいものの、他は目から鱗なアレンジで実に楽しく聴ける1枚になってると思います。

    カールソンのピアノという意味では決して出番は多くないですが、時折現れるソロ・パッセージは存在感たっぷりで、ヴィクトリアの豊かな歌声と相俟って実に聴き応えのある1枚になってると思います。



    ということで3枚どれも、クラシックとジャズが微妙に絡んでは、それぞれが主張するアルバムになってるのが共通項でしょうか(笑)。どれもカールソンの音楽性が表れた素晴らしいアルバム。是非お聞き頂きたい!





    Kramer/Olsen/Haastrup TRIO

    • 2008.09.15 Monday
    • 19:27
    ◆大分間が空いてしまいましたが、例の如く気ままに再開してみます。大分涼しくなってきたことですし(笑)。

    ◆デンマークの元気の良いジャズレーベルというと、まずはSTUNT Recordsが思い浮かびますが、今年に限って言うと、Calibrated が熱い。STUNTがインターナショナルな方向に拡大するのとは異なって、あくまでもデンマークのミュージシャン中心でいく姿勢が強く感じられるからです。

    最近リリースされた中で出色なのが、メイ=ブリット・クラメル Maj-Britt Kramerのスタンダードなピアノトリオ作です。

    KRAMER・HAASTRUP・OLSEN TRIO
    MAJ-BRITT KRAMER(PIANO)
    Benita Haastrup(DRUMS)
    Jens Skou Olsen(BAS)
    Calibrated CAL1073

    ◆女性が二人を占めるトリオというのも比較的珍しい感じもしますね。そしてこのちょっと怖い系なジャケットとは裏腹に、メロディアスなトリオ・ミュージックが存分に展開されます。そう、そこにはデンマークへの敬愛の念がしっかりつまった音楽があるのであります。

    殊、北欧のミュージシャンは、民謡やフォーク、昔から慣れ親しんだ歌に対する愛着が強いのでしょうか。ジャズ・ミュージシャンは特にこれら自らの起源に対して限りない愛情を示してくれます。このアルバムもそうした1枚に数えられるものです。

    ◆全8曲中、5曲はオリジナルなのですが、残り3曲がポール・シアベク、バッハ、ゲーゼのメロディーによるものなのです。

    01. I DANMARK ER JEG FØDT (デンマークに生まれて:ポール・シアベク)
    03. ACH GOTT, ERHUÖR, MEIN SEUFEN (ああ 神よ、わが呻き、わが嘆きの声に耳を傾け:バッハ)
    04 PÅ SJØLUNDS FAGRE SLETTER (シェロンの勇ましき平野に:ゲーゼ)


    ゲーゼの曲はデンマークに伝わる英雄の詩であり、彼の交響曲第1番の副題にもなっているものなんですね(調べるまで気づきませんでしたが・・・)。

    ◆彼らの音楽は全体的に親しみやすく、歌を中心にした親しみやすいものです。逆にエグさというか、苦みがないのがちょっと不足に感じることもありますが、ある意味デンマーク・ジャズのポピュラリティを端的に表しているトリオだと思います。クラメルの音の美しさも特筆ものです。落ち着いたカンタービレは、音の響きを堪能するにはもってこいであります。

    これからの季節にピッタリなジャズだと思います。







    トヴェイトの交響曲第1番《クリスマス・イヴ》復元

    • 2008.07.13 Sunday
    • 22:31


    ◆2008年、ノルウェーの作曲家ゲイル・トヴェイト(1908-1981)生誕100周年の年でもあります。

    トヴェイトというと「多作家であったが、火事によりその殆どの作品が失われた」というのがある意味枕詞の様に付きますが、残された断片や新発見の資料により、復元の試みも多く行われています。

    ノルウェーというとグリーグでありますが、僕としてはそれに続く作曲家としてセーヴェルー、そしてこのトヴェイトを挙げたい(その他大勢もいますが)。
    残された作品は多くはありませんが、その全てが強烈なまでのトヴェイト色で染められており、そしてなによりノルウェー音楽の体現者の一人だと感じるからです。

    ◆そんなトヴェイトの交響曲第1番《クリスマス・イヴ》は、1958年12月11日ベルゲンで初演。そして1970年の火事により消失した作品です。それが(経緯は不明でありますが)コーレ・ディヴィーク・フースビ Kaare Dyvik Huseby の手で蘇ったということのようです。フースビさんは《太陽神交響曲 Solgud-symfonien》の復元にも当たった人であります。

    ちょっと " target="_blank">MIC.noで調べてみると、初演以降の放送記録が複数残っているようです。これら録音も参照され、復元されたのでしょうね。

    1.
    Garaguly, Carl von, conductor
    Bergen Philharmonic Orchestra
    2.
    Oslo Philharmonic Orchestra
    Bruland, Sverre, conductor
    3.?
    Oslo Philharmonic Orchestra
    4.
    Bergen Philharmonic Orchestra
    Bang, Ole Wiggo, conductor

    ◆作品表による編成、演奏時間は以下のとおり。
    SYMFONI Nr. 1 : Julekvelden, Op. 182
    -Symphony No. 1 : The Christmas Eve-
    3(3)-3(1)-3(1)-3(1) 4-3-3-1
    timp perc pf/cel str

    復活蘇演は2008年の4月にスタヴァンゲルで、ウーレ・クリスチャン・ルードの指揮により行われています(その後5月に再演)。ネットラジオでも放送されたようでありますね。どんな曲だったんだろうか・・・・。
    おそらくですが、BISでの録音も行われていると思われます。これは楽しみですね。

    ◆それとトヴェイトの生誕100年に関しては、素晴らしいウェブサイトが立ち上がってたのですね。気づかなかったよ。。。。友人で詩人でもあった、オーラフ・ホーカンソン・ハウゲさんと合同のものになってます。

    " target="_blank">http://www.ht08.no/

    ここにはトヴェイトのディスコグラフィがあり、LP時代からの膨大な録音(こんなにあるのか!!と呆然となりますわ)が集成されています。これは素晴らしい仕事だ!

    JUGEMテーマ:音楽


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